【女性の加齢臭】40代以降から要注意!更年期からの匂いの原因と10の対策
脂っぽくてなんだか青臭い…いわゆる「加齢臭」は男性だけのものだと思っていませんか? 実は女性も40代以降、体臭に変化が起こりやすくなります。そもそも加齢臭とは何か、その原因は何でしょうか。自分でできる対策ケア方法とあわせて紹介します。
〈写真〉更年期からの匂いの原因と10の対策
■性別問わず「加齢臭」がある
先日このようなご相談をいただきました。
「最近、自分の体臭が気になります。“スメルハラスメント”という言葉を聞いて、自分が周りに迷惑をかけていないか不安になりました。 対策が知りたいです。」(50代男性)
40代、50代ごろから、自分の体臭が気になるという方は増えてきます。ご相談のなかに出てきた「スメルハラスメント」とは、スメル=匂いによって周りの人を不快にする行為のことです。
加齢とともに強くなる特有の体臭は「加齢臭」とよく言われます。男性だけのものだと思いがちですが、実は性別関係なく、誰であっても加齢と共に臭いは変化してきます。加齢臭とは、一般的に古本や枯れ草のような臭い、または油と青臭さが混ざったような臭いだとされています。自分からそうした臭いが出ているかどうかを確かめるには枕を嗅いでみるといいでしょう。
頭は皮脂分泌がとても多い部位。枕がいつの間にか臭くなってる場合は、匂いの変化が起こっている可能性があります。他にも、首の後ろ、耳の周り、脇、背中、胸元など、皮脂分泌量が多い場所から臭いやすくなります。
■加齢とともに臭いの原因になる物質が増える
この加齢臭の原因は、臭いの原因物質「ノネナール」(*1)です。1999年に株式会社資生堂が発見し、その臭いを加齢臭と名付けました。
*1 「ノネナール」は株式会社資生堂の登録商標。
皮脂には「パルミトオレイン酸」という脂肪酸が含まれており、加齢とともに増加します。パルミトオレイン酸が、酸化した体内の脂質(過酸化脂質)や皮膚の常在菌によって酸化したり、分解したりすることで発生するのがノネナールです。若いうちはこうした臭いの元になる物質自体が多くありません。しかし、男性の場合は50歳前後から、女性は閉経前後くらいからノネナールが増加(*2)しやすいことがわかっています。
*2 出典: The Journal of vestigative Dermatology. vol.116. 4. 520-524. 2001.
加齢臭の対策は、この臭いの元であるノネナールを減らすことが基本になります。ノネナールを減らすには、体の活性酸素を必要以上に増やさないこと、皮脂を酸化させないことが重要です。今回は、そのためにできる10の対策をお伝えします。
■運動・睡眠・ストレス対策が臭い対策につながる
■■対策1:運動する
意外に思われるかもしれませんが、加齢臭対策1つめは「運動する」ことです。運動することで、体内の余分な脂肪を燃焼させることが、皮脂の分泌量を押さえることにつながります。また、汗をかくことで、毛穴に詰まってる皮脂を汗で押しだすことができ、臭いづらくなると考えられます。目安としては、30分以上の運動を週に2日以上行うことがおすすめです。少し汗ばむくらいの強度のウォーキングなど、まずはできることから始めてみましょう。
■■対策2:よく睡眠をとる
睡眠不足は、そのこと自体がストレスになり、活性酸素を増加させる要因になります。活性酸素は体臭を強くする原因になるので、臭い対策のためにもしっかり睡眠をとることはとても大切です。
■■対策3:ストレス対策
ストレスが本当に活性酸素を増やすのかどうか、疑問に思う方もいるかもしれません。神戸大学の研究によると、慢性的な精神的なストレスは活性酸素を増やすことがわかっています。(*3) 活性酸素の増加は体臭にも影響するため、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
*3 (出典)出精神的ストレスと酸化的ストレスのストロークに関する研究 ~慢性精神的ストレスの動脈硬化病変に及ぼす影響の細胞生物学検討~
■■対策4:脂質を摂りすぎない
脂の多い肉類、揚げ物、スナック類を食べすぎると、皮脂量も増えます。脂質の摂取はほどほどにしましょう。とはいえ、全く摂取しないのもよくありません。比較的脂質の摂取量を減らしやすい、和食中心の食事を心がけるのがおすすめです。
■■対策5:抗酸化作用のあるものを食べる
抗酸化作用のあるものを食べると、体内の酸化を防ぐことにつながります。抗酸化作用は、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどに含まれます。これらが含まれている、フルーツやナッツ類、緑茶などを食事に上手に取り入れていきましょう。
■酒・たばこを控え、清潔を保つ
■■対策6:アルコールを控える
お酒を飲むと、肝臓がアルコールを分解するときに、活性酸素が大量に発生します。お酒は適量を守りましょう。厚生労働省が2024年2月に発表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(*4)によると、1日当たりの「純アルコール量」で男性は40グラム以上、女性は20グラム以上を摂取した場合に生活習慣病のリスクが高まるとされています。
*4 厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドラインを公表します(2024年3月3日閲覧)
純アルコール量20gをお酒の量でみると、アルコール度数5%のビールならば500mlのビール缶1本分程度とされます。ワインなら小さめのグラス2杯程度です。
■■対策7:シャワーを浴びるだけではなく湯船につかる
入浴時、シャワーですませず、ちゃんと湯船につかりましょう。ノネナールは皮脂に含まれるため、温めることで落ちやすくなります。ゆっくりと湯船に浸かって全身を温め、リラックスすることが臭い対策につながります。
■■対策8:洗濯で皮脂汚れをきちんと落とす
もし肌を清潔にしていても、衣類についた皮脂が落としきれていないと、衣類からも加齢臭が漂うことになります。ポイントは、洗濯するときに皮脂汚れをきちんと落とすことです。洗濯機に入れる前にえり元、脇などを手洗いしたり、皮脂汚れ落とし専用のつけ置き剤などを使うなど、工夫してみましょう。
■■対策9:禁煙する
タバコの煙には活性酸素が含まれています。また、加齢臭とタバコの臭いが混ざると、強烈な悪臭に変わります。これを機に、健康のためにもタバコをすっぱりやめてしまうのも良い選択肢です。
■■対策10:紫外線に気をつける
紫外線を浴びると、体の中で活性酸素が作られます。日焼け止めや日傘などを上手に使って、紫外線を浴びすぎないよう対策をしてみてください。
■加齢臭対策は健康によいことばかり
加齢臭は皮脂が酸化して発生しますので、汗をこまめに拭く、毎日身体をちゃんと洗うなど、体を清潔に保つことで、臭いを抑えることもできます。また、特に臭わないのに「自分は臭い」「自分の臭いのせいで人に嫌がられているのではないか」と悩んでしまう「自臭症」という病気もあります。実際には、人は他人の臭いをそんなに気にはしていないものですが、どうしても気になる場合は皮膚科などに相談してみるのもよいかもしれません。今回紹介した臭い対策は、どれも健康によいことばかりです。ぜひできることから実践してみてもらえればと思います。
ライター/永田京子
NPO法人ちぇぶら代表理事、更年期トータルケアインストラクター 1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て “更年期対策メソッド”を研究・開発・普及。口コミで広まり、企業や医療機関など国内や海外で講演を行い述べ3万人以上が受講。2018年カナダで開催の国際更年期学会で発表。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2446251cf2aa9c0e82cac3e56e66f62dee35865f