フィトンチッド

自ら移動することができない樹木は傷ついたときに、病原菌に感染しないように傷口を殺菌したり、害虫などを寄せ付けないために「フィトンチッド」と呼ばれる揮発性物質を放出しています。
樹木の多く覆い茂る森林内の空気にはこの「フィトンチッド」が充満しています。
フィトンチッドは「テルペン類」と呼ばれる成分で構成されており、身動きの取れない樹木が数百年、いえ、数千年もの間生き続けることができる"生命力の源"であるといわれています。
森林浴をすると体が元気になったり心が安らぐのは気分的なものでなく、「フィトンチッド」の効果であるということが学術的にも証明され始めています。

森の自然環境に触れる森林浴について植物由来揮発性物質、フィトンチッドとその作用を結び付けて考えてみたが、この小文を著した目的は、私たちがこの文明社会から離れて森の中で生活することを推奨するためではなく、大自然の森(植物)がもたらすその働きを知り、この文明社会でいかに生かすかを考えてもらいたいためです。
都会社会における植物の存在は、ややもすると観賞的、あるいは景観的な視点からのみで見てしまいがちです。
しかし、都会を植物の豊かな社会システムに変革することは、都会の空気がフィトンチッドで浄化され、植物が生育することにより、都会の土地の保水能力を保持することにつながります。
そしてさらに多様な小動物群、微生物群が棲息することにつながります。
このことは、いま都会で起こっているさまざまな問題、環境的にはヒートアイランド現象の解消、都会という都市環境のもとでの潤いの欠如からくる生物・医学的諸問題を解消するきっかけとなり得ます。「都会を森にする」ことでフィトンチッドの個々の働きがより身近になり、より一層森の恵みを享受することになります。

フィトンチッドに含まれる成分

さて、フィトンチッドは
人体に対しては有益で、わたしたちの生活に広く有用であることが経験的によく知られていました。
フィトンチッドをわたしたちの身近な暮らしのなかに取り入れることによって、さまざまな効果が得られるのです。
フィトンチッドがもたらす効果は3つが良く知られています。