森林浴でリフレッシュ 沖縄の植物漫歩
本土の秋の紅葉は植物たちが眠りに就く前の景色ですが、南国沖縄の3月の森は目覚めの景色です。
樹冠いっぱいに芽吹くアデクやモッコクはワインカラーのグラデーションで、イヌガシやシロダモはゴールドシルバー、サクラツツジは淡いブロンズで、新芽は紅葉に負けない色彩のオリンピックのようです。
柔らかい新芽を虫や菌から守るために、たくさんの防虫や抗菌作用のある揮発性の物質が放出されますので森の大気は香りも違います。
この時期の森に浸ればちょっとした風ぐらいは治ってしまうと言われるほど森の空気は澄み、大気はマイナスイオンを大量に含んでいますので、心身ともにいやされます。
ある大学の研究によると森林浴の1週間後でも、NK(ナチュラルキラー)細胞は通常より45%増えるといわれており、1カ月後でも23%の高さで持続されることが確認されています。森林での滞在は免疫の機能を高めます。森の生命力を感じ、リフレッシュすることできっと明日から元気な自分になれます。
3月の森林浴はタイミングがよければ樹冠いっぱいの白いクロバイ、青いアオバナハイノキ、日本で一番おいしい黄色果のイチゴであるリュウキュウイチゴなどを体験できます。
沖縄版アケビのムベの花、日本一大きいドングリの実であるオキナワウラジロガシの新緑の芽吹き、林道を白く埋めるエゴノキの香りなどを体験し、観察しながらリフレッシュしてみてはいかがでしょうか?
(NPO法人沖縄有用植物研究会 仲田実)
(2015年3月12日琉球新報掲載)
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-363353.html(2016年09月26日 琉球新報)