[樹木で潤う](3)森林散策、血圧や免疫に効果
森林セラピーは、リラックス以外にも、健康への効果がある。
千葉大学の宮崎良文教授(自然セラピー学)は、森林を散策することで、血圧にどのような変化が表れるかを調べた。
都市部と森林で15分の散策後を比べると、高血圧の人では森林の方がより低くなることを確かめた。低血圧の人は、森林散策で上昇し、正常値に近づくことも分かった。
宮崎さんは「血圧は、高い人も低い人もより正常値に近づいていた。森林セラピーが体の働きを良い方向に調整している」と話す。
森林セラピーの効果を、手軽に得られる方法もある。香りによる木材セラピーだ。
宮崎さんは、ヒノキを製材後45か月間、自然乾燥させたチップを袋に入れて、においを90秒間かいでもらい、脳の働きを見た。脳の前頭前野の活動も沈静化し、リラックス効果があることが認められた。香りにはフィトンチッドと呼ばれる成分の「α―ピネン」と「リモネン」が含まれ、前頭前野の沈静化をもたらすことを確認した。
宮崎さんは「木材は自然乾燥がお薦めで、香りは、ほのかに香る程度が心地よい。強いとダメ。好き嫌いに個人差もあるので、好きな木の香りを選ぶとよい」とアドバイスする。
(山田聡)
(2017年01月29日 読売新聞掲載)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170125-OYTET50007/
(2017年01月29日 読売新聞)