株式会社 シーメイダ

森の中を散歩するだけで、血圧が下がる?薬学部教授が教える、薬を減らして健康に生きる方法

薬には、いいところもあれば、悪いところもあります。
昭和薬科大学教授を務め、現在は日本薬科大学客員教授として薬に深く関わり続けているからこそ言える、薬との正しいつきあい方、薬を減らして元気に長生きする秘訣を紹介した千葉良子先生の著書、『薬学部教授だけが知っている
薬のいらない健康な生き方』から一部を抜粋し、再編集して紹介します。
真の健康を手に入れるには、生活習慣や考え方を変えることも欠かせません。薬漬け、化学物質漬けになることなく健康に生きるために役立つ知恵をご提案します。

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  森の中を歩くと血圧が下がる
森林浴の効果がじんわりと世界に認知されつつあるようです。
この「森林浴」という考え方は日本で初めて提唱されたものです。
実際、森の中を散歩すると、血圧が下がります。
また、森林浴をすることで、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量も下がったという論文も数多く発表されています。
コルチゾールとは、副腎皮質で生成されるステロイドホルモンの一種。主にストレスと低血糖に反応して分泌されます。生体にとって必須のホルモンですが、分泌量が慢性的に多くなると、血糖値を上げたり免疫力や記憶力の低下をもたらします。また、脳の海馬を萎縮させることも観察されています。
逆に、慢性的に少なくなると、低血糖をもたらしたり安眠を妨げたりします。

  群馬県立県民健康科学大学名誉教授の下村洋之助先生は、 「森林内と森林外で歩行した場合の収縮期血圧を比較した実験では森林内を歩行した時の方が、15~20mmHg低下、ストレスホルモン(コルチゾール、ノルアドレナリン)が森林内歩行で有意に減少した」 と述べています。
  また、群馬バース大学保健科学部の近藤照彦先生が群馬県利根郡川場村在住の老人ボランティア19名を対象におこなった実験では、森林浴の前と後を比較すると、森林浴の後で収縮期血圧、血漿中アドレナリン濃度、血漿中コルチゾール濃度がいずれも低下したと述べています。
要するに、森林の中を歩くだけで血圧が下がり、ストレスが緩和されることが明らかになったのです。

   森の中を歩くと緑が目に入り、木の香りも漂ってきます。小川のせせらぎや小鳥のさえずりも耳にとまるでしょう。こうしたことで、心も体もリラックスできるのです。
   そもそも森の香りとは、木の葉から放出される青くさい香りのことです。  薬学的に言うなら、青葉アルデヒド、青葉アルコールと緑葉や木の幹から放出されるテルペン類の香りがミックスされたもので、フィトンチッドとも呼ばれています。
   フィトンチッドとは、「フィトン」が植物を、「チッド」が他の生き物を殺すという意味の合成語で、レニングラード大学のトーキン博士によってつくられました。これらは森の中を最も多く浮遊している物質で、香りのもととなる精油成分が含まれています。
では、森の中の散歩はいつするのがいいのでしょうか?

   血圧を下げたい人は午前中がいいでしょう。
  血圧は朝がいちばん高い状態になります。朝は、心も体もこれから活動する! というモードに入っており、自律神経は交感神経が優位になっています。そんなときに血圧が高めの人が激しい運動をするのはよろしくありませんが、森の中を歩く程度の運動なら、血圧を低下させるのに役立ちます。
 ちなみに血圧は、ランチを食べた後でゆったりした気分になる14~15時くらいになると下がりはじめます。
血圧は気にならないけれどストレスを感じているという人は、とくに時間にこだわらずに森林浴をするといいでしょう。

  森林の“状態”から散歩する時間帯を考えるという手もあります。 東京大学名誉教授の谷田貝光克先生によると、樹木の精油の放出量は一日では昼近くに最大になるそうです。 昼下がりには低くなるものの、夕方にふたたび高くなり、夜間は低くなるとのこと。 いつ森林浴をするのがいいのかは一概にいえないようですが、自分の目的に応じてふさわしい時間帯を選びたいものです。
  また、季節による違いもあります。
 精油の放出量は精油の含量によって決まります。精油の含量が多いのは、光合成がさかんな春から夏にかけてです。  気温は高いほうが多く放出され(15度よりも30度のほうが多い)、照度は低いよりも高いほうが多くなります。
 月でいうなら8月が最高です。
こちらは、1つの季節を選ぶわけにはいかないでしょうが、ご参考までに。

いずれにしても、木の香りをかぐだけで心身ともにリラックスでき、血圧まで下がるのなら、時間をつくってでも森林浴を楽しみたいものですね。

https://diamond.jp/articles/-/163351
(2018年03月20日 ダイヤモンド・オンライン掲載)

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