株式会社 シーメイダ

モードな植物哲学 - 香りと食で、睡眠の質をマネージする。

ここ数年、美容の分野でコスメの成分としてスポットライトが当たることが多い “植物”に着目。モデルのノーマ(NOMA)と共にエキスパートを訪ね、植物の知られざるパワーを解明する連載第6回目。

寝苦しい季節が始めるなか、植物の力を借りて良質な睡眠を叶えるには?  「感覚が真実ですから」と話し、科学的根拠に加えて感性も大切にする注目の農学博士、清水邦義先生が「眠り」と「覚醒」をテーマに植物の力をレクチャー。

作業効率を落とさずに安眠へと導く「モミ」。


これから寝苦しい時期がやって来る。特に、遅くまでスマートフォンのライトを浴びたり、仕事をしていたりするとベッドに入っても脳が覚醒したままで、なかなか眠れず疲れを溜めがちに。そんなときに、清水先生がおすすめするのがモミの精油だ。

抗菌や抗炎症作用、抗がん効果を有することで知られていて、北欧ではクリスマスだけでなく冬の間ずっと、乾燥した室内にモミの木を置く習慣がある。血行を促進させ体を温める作用があるのに加えて、まるで森林浴をしているかのような森の香りが心を癒し、リラックス効果も高い。

「私たちは一般に、まどろんでいるときにはシータ波という脳波を出し、それが熟睡へと導きます。しかし、遅くまでスマホをいじったり仕事をしているとシータ波が出ずに、安眠できないのです。モミの精油の素晴らしいところは、このシータ波を誘導する効果がある一方で、作業効率を下げない点です。つまり、寝る直前まで作業をしなければならないときの強力な助っ人になる。仕事をしているときは普段と同じように集中でき、作業後は覚醒状態を低下させるので不眠を改善させるのです。ただし、低濃度で使う場合に限ります」(清水先生)

「アロマの濃度、という視点が面白いですね。低濃度とは具体的にどのくらいの量なのでしょうか?」(ノーマさん)

「かすかに香るかな……という程度です。今の世の中では、ほとんどの方がアロマを高濃度で取り入れていると思います。寝る少し前からディフューザーなどで分かるか分からない程度に香らせるなど、アロマの低濃度の使い方も試してみてください」(清水先生)


眠りが浅いときには「サフラン」を。


もうひとつ、先生が安眠効果が高いとしておすすめするのがサフランだ。

「女性ホルモンに働きかけ、生理痛や生理不順、更年期、不妊症などの女性特有の症状の緩和に効果的なのは知っていました。睡眠にも効果があるんですね。香り、それとも食で?」(ノーマさん)

「サプリメントや料理として、取り入れるのがおすすめです。一日のどこかで取り入れれば、血中濃度が高まって睡眠の質が高まります。また、サフランには認知機能低下を抑制する効果もあるとされています」(清水先生)中東が原産地のサフランは、3千年以上も前から、調味料や香料、医薬として親しまれてきた香辛料。先生は、このように古代から人々が使ってきた香りや植物にこそ、健康や美のヒントがあると考えると続ける。

「『噂を科学する』とよく言うのですが、昔から人々が親しんできた植物を見つけて科学的に分析すると、驚くような発見があったりします。先ほど紹介したモミの木も、『なぜ昔から北欧の人はクリスマスツリーを部屋に飾るのだろう? ああ、モミにはリラックス効果があるのだ』と、改めて昔の人の知恵に感動しますよね。だから、私がいまもっとも注目しているひとつは、オリーブなど聖書のなかで使われている植物なんです」

「ものすごくロマンがあって素敵だし、共感できます! 私も古代エジプトで焚かれていたフランキンセンスとか、人類が遥か昔から香料として使っていた植物にはものすごいパワーを感じます。まだ解明されていませんが、例えば日本では縄文時代にどんな香りが使われていたのだろう? そんなことを想像するとワクワクします」(ノーマさん)


爽やかな香りで体と心を安らかにする「杉」。


さらに、清水先生の研究によると、杉の木の部屋で眠ると睡眠の質が高まるという実験結果が出たそう。日本人にとって馴染みのある杉は、森林浴効果のある爽やかな香りで心のバランスを整えてくれるとされている。また、血圧を下げ、呼吸を深くゆっくりとさせる効果もある。

「杉の内装に用いた建物では、深い眠りが長く浅い眠りが短い。つまり、睡眠の質が高いということが明らかになりました。杉の香りも大切ですし、目で見た時にリラックスできるのも効果につながっているといえるでしょう」(清水先生)

「杉のどんな成分が安眠を促すのでしょうか?」(ノーマさん)

「セスキテルペン類のミクスチャーで杉の香りは構成されています。ただ、杉は半分が水分で内装に使うには水が10%くらいになるまで乾燥させる必要があるのですが、高温で人工乾燥させると匂いは消えてしまいます。時間はかかりますが、自然乾燥させて匂いを残したものが安眠効果は優れています」(清水先生)

そして、小学生であっても大人であっても、 女性のほうが男性より、木の内装にしたことによるプラスの効果をより「感じている」という調査結果も。

「興味深いことに、脳波を見ると男性も女性と同様にリラックスできている状況でも、男性は心理的に気持ち良さを感じないことが多いのです。男性のほうが頭で物事を捉える傾向が強いからでしょうか。生理的には良い反応が出ていても、心ではそれを感じ取れないというわけです。男性は、論理で快適さを感じる人が多いのかもしれません」

交感神経を高め覚醒を促す「ローリエ&べチバー」。


安眠に導く植物の力を知ったら、最後に、その逆の覚醒によい植物についても清水先生に伺った。先生がおすすめするのは、ローリエとべチバーだ。

「香辛料として馴染みが深いローリエは、だいたいの家庭のキッチンにあると思います。今から集中しないいと、というときに一枚葉っぱを香ってみてください。明らかに交感神経が高まり、集中力がアップします。車の運転中におすすめです」。ローリエは、抗感染や抗菌、免疫力向上作用があることでも知られている。一方、べチバーは東アジア原産のイネ科植物であり、根に多くの香気成分を含む。肌の乾燥を防いだり抗炎症の作用があるともされている。

「ローリエを嗅いだたら、お腹が減ってきました(笑)。べチバーはウッディでアース的な香りが好きです。柑橘系な香りとも相性が良さそう。べチバーが入ることで、深みが出ます」(ノーマさん)

インタビューを通して意気投合し、「九州大学にぜひ植物を研究しに行きたいです」「ぜひ、いらしてください!」と盛り上がっていた清水先生とノーマさん。

「ノーマさんの出身地の佐賀県は農産物の宝庫で、研究が手付かずの植物もたくさんあると思います。私は自然界の中にエビデンスをつけるのが、人類が幸せになる方法だと信じているので、ぜひノーマさんの感性にビビッときた植物があったら教えてください。感覚が真実ですから」(清水先生)

 

(2018 年 06 月 12 日 VOGUE JAPAN)
https://www.vogue.co.jp/beauty/expert/2018-06-13

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